【完結】bitter step!
「ね、今日、どこまで行くの?」

「咲良台……って、なおは知ってる?」


さくらだい――。

聞いたことはある。
その辺一帯の地名にもなっている、そう言う名前の小高い山が、確か二つ三つ隣の市にあった。


「ええと……、フィールドアスレチックとかあるとこ?」

「うん。あと、電波塔と展望台とか」

「桜は? えっと……、さくらだいのサクラは、字違うよね」

「もちろんあるよ。ちょうど今、満開――」


言いかけた言葉を、先輩ははっとしたように中途半端に飲み込んだ。

今満開だと知っているのは、そこまでの道を何度も彼が【練習】して見てきたからだとボクは知ってるのだけど。
それが嬉しくて、下を向いたまま笑いをかみ殺した。
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