【完結】bitter step!
びゅうっと冷たい風が吹き抜けていって、耳が千切れそうなくらい痛んだ。

最後に弁当をかっ込んだ時に、被っていたフードが外れちゃっていたらしい。
今さら気付いて被りなおしたけれど、そろそろボクの寒冷地耐性は限界に近づいている。
肩と首にいくら力を入れても、もうこれ以上小さくもなれないし。


「おう、背中が丸いぞなお」

「いっ!」


寒さから逃れようと(んなことしたって無駄なことは分かってるさ)丸めていた背中を、思いっきり叩かれた。
完全不意打ちの攻撃に、寒さで削られたHPが一気にゼロに近づく。

……この、馬鹿力。

大きな手で叩かれた背中はジンジン痛くて、あ、だけどちょっとだけ熱い。
いやいや、別にそのための一撃でもなかったはずだが。
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