【完結】bitter step!
「そー……ですか」

……それ以外、なんて言えってんだ。
『なおちゃん』なんてむず痒い呼び方をしてきた後に、彼が自分の名前を名乗った意味くらいは分かるが。
このタイミングでなんて、絶対呼んでやるものか――。


「そーですかじゃねぇ。早く呼んでやれよ」

ニヤニヤとそう言ってくる純平が、またボクを苛立たせた。


一口分だけ欠けたから揚げに刺さったままの箸を、放るように弁当箱に置いた。
反撃しようにも、……言葉が見つからなくて。


名前なんて美紗や純平相手なら普通に呼べるのに、先輩のことだけムキになって呼ばないのも、なんかおかしい。
だけど、今まで『会長』とか『先輩』とか言って濁していたから。
今さら鷺沼先輩とか……響先輩? なんて、改めて呼ぶのも、なんか、変だ。

しかもこんなタイミングで、強要されて呼ぶなんて、物凄く変だし絶対嫌だ!

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