【完結】bitter step!
「えーと、響先輩? ですか?」

名字より、名前の方が良かったのかもしれない。
そう思って、呼びなおしてみたら。


先輩は、机に両手をバンッと突いていきなり立ち上がった。

その勢いで、パイプ椅子が音を立てて、後ろに倒れる。
あまりの大きな音に、全員がぎょっとして彼の動向を見つめた。


「……」

ええと……これは。

「……ぶっ!」

純平が吹き出す。

「――面白くないわね」

美紗が呟く。


「席外しましょうか、ヒ・ビ・キ・先輩」

「それこそ職権乱用だわ。私はここにいるわよ」

ニヤつく純平と、不機嫌そうな美紗と、立ちっぱなしの先輩。


あれかな、これは、もしかして。

「響先輩。……照れてんの?」
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