<短編>あたしの飼い犬
「……じゃない」
「えっ?」
「嫌じゃないもん!あたしッ笠原くんがいなくて寂しかったよ!」
あたしは気づけば涙を流していた。
笠原くんはあたしを引き、教室を出た。
無表情の彼にあたしの涙はさらに溢れだす。
怒ってるんだ…
自分勝手なヤツだって…
「ヒック…ウッ…ごめんなッさい…」
この気持ちをあたしは初めて知った。
あたし、笠原くんのこと好きなんだ…
「先輩…俺、ごめんなさいッ!」
急に立ち止まり、あたしに頭を下げる笠原くん。
何がごめんなさいなの?
あたしのほうが謝りたい。