【短】Another Platonic
「卓巳ぃ。お友達?」
ぴとっ。と体をくっつけて、葵をジロジロ見つめるマミちゃん。
ああぁ……やめてくれ。
てか、胸が。マミちゃんの胸が、腕に当たってる。
やめてくれよ。今は。
「う、うん。同じクラスの水野さん。普段はウッチーも一緒にいるんやけどさ、あの、今日はたまたまふたりで」
俺、何を言い訳してんねん。
葵は一応愛想笑いしてるけど、明らかに居心地悪そうやし。
やだもう。
そんな俺に追い討ちをかけるように、マミちゃんの一言が出た。
「そうだ、卓巳。こんどの日曜、映画行けへん?」
「えぇっ!?」
「……何そんなに驚いてんの?」
「あ、いや、別に」
引きつった俺の笑顔の前に、差し出されたチケットは……
「はい、これ。卓巳、観たいって言ってたやん?」
ええ。
たしかに言ってましたけど?
でもついさっきも同じチケット、見た気がするんですけど?
どんな反応をしていいのかわからず、情けなさ全開の俺。
困り果てて葵の方をチラッと見ると、目が合った。
彼女は微笑んだ。
寂しそうに。