【短】Another Platonic

失礼なこと言った罰よ!

という葵の命令で、泳げない彼女を沖まで連れて行ってあげることに。


俺は葵の浮き輪をひっぱって、沖へと進む。

ふたり分をバタ足で進むのは、なかなか体力がいる。


葵は水玉模様の浮き輪につかまり、プカプカと心地良さそうだ。



「もうこの辺でええやろ? あんまり離れると戻るの大変やし」


ビーチから40mほど離れたところで、俺はバタ足を止めた。



「ありがと〜卓巳。お疲れ様」


「ほんま疲れたわ」


「あははっ。ごめんごめん。
じゃあ卓巳も浮き輪につかまっていいよ」



葵の言葉に誘われ、俺は浮き輪に両腕を乗せた。


すると、当然やけどふたりの距離が近くなる。


いくら仲がいいとはいえ、こんなに近づいたことはなかったから、不覚にもドキッとしてしまった。



「いいお天気やねー」



うっとりと目を閉じて、浮き輪に顔を乗せる葵。


俺との距離、およそ20cm。


< 21 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop