【短】Another Platonic
失礼なこと言った罰よ!
という葵の命令で、泳げない彼女を沖まで連れて行ってあげることに。
俺は葵の浮き輪をひっぱって、沖へと進む。
ふたり分をバタ足で進むのは、なかなか体力がいる。
葵は水玉模様の浮き輪につかまり、プカプカと心地良さそうだ。
「もうこの辺でええやろ? あんまり離れると戻るの大変やし」
ビーチから40mほど離れたところで、俺はバタ足を止めた。
「ありがと〜卓巳。お疲れ様」
「ほんま疲れたわ」
「あははっ。ごめんごめん。
じゃあ卓巳も浮き輪につかまっていいよ」
葵の言葉に誘われ、俺は浮き輪に両腕を乗せた。
すると、当然やけどふたりの距離が近くなる。
いくら仲がいいとはいえ、こんなに近づいたことはなかったから、不覚にもドキッとしてしまった。
「いいお天気やねー」
うっとりと目を閉じて、浮き輪に顔を乗せる葵。
俺との距離、およそ20cm。