【短】Another Platonic
「別に水野が気にすることちゃうし」
「でも。わたしは卓巳と観て楽しかったけど、彼女だってきっとそうしたかったと思うし」
「………」
「また何かチケット入ったら、卓巳にあげる。
彼女誘って行ってきなよ。
卓巳から誘ってもらえたら、絶対に嬉しいと思うよ」
こいつ……
いちいち人の彼女のことまで心配してら。
お人よし通り越して、アホやな。
きっと根っからこんな感じなんやろな。
いろんなヤツの気持ち、本人以上に心配して抱えて。
……そのくせ肝心なとこ、鈍感すぎ。
「よし、決めた!」
突然叫んだ俺に、葵はビクッと反応する。
「決めたって? 何を?」
「彼女と別れる」
「はあっ!?」
「決めたからな! で、今宣言したからな!」
「や、ちょっと待ってよ! 勝手に目の前で宣言されても困るし!
てか、そんな大事な決断、わたしの前でせんといてくれる?」
「お前の前やから意味あるんやんか!」