【短】Another Platonic
【5】お泊り会
葵に宣言した通り、俺はその翌日、マミちゃんに別れを告げた。
マミちゃんは、泣いてた。
「そっか。……卓巳、やっぱり華岡さんのことが好きになったんやね」
最後の最後まで、別れの理由が華岡綾乃にあると誤解したままやったマミちゃん。
でも俺は本当のことを言わなかった。
それがズルさなのか、優しさなのか……自分でもよくわからへんけれど。
これまでも何人か女の子と付き合って、別れも経験してきたはずやのに、
マミちゃんとの別れは俺にとって、初めて味わう胸の痛みがあった。
俺を好きでいてくれたマミちゃん。
葵を好きになってもーた俺。
別にマミちゃんを嫌いになったわけちゃうのに、傷つけたという結果は変わらない。
俺はこのとき初めて、恋愛の理不尽さってやつを知ったんやな。
で、こうして人はちょっとずつ、大人になっていくんやろな。
葵とは、何日間か連絡を取らなかった。
別れてすぐに次いくのが、なんか自分的に許されへんかったから。
再び葵に会ったのは、夏休みが終わる直前の、8月29日。
場所は……華岡綾乃の部屋やった。