【短】Another Platonic
渋々宿題と筆記用具を持って、
華岡家に着いたのは夕方。


他の3人はすでに集まっていて、俺が最後やった。



「おじゃま、しまーす……」



恐る恐る部屋に入ると、葵の姿が目に飛び込んできた。


華岡の横に座り、数学の問題集をひらいていた葵は、
あわてて俺から目をそらそうとする。


気まずいぞコラ。


でも他のふたりから変に思われたくないし、なるべく普通を装って、挨拶する。


「よう、水野。久しぶり」


ビクッと肩がはねる葵。


「よ、よう」


……つられて男言葉になってるし。



告白したあとって、こんなにギクシャクするもんやっけ?

やっぱ友達に恋すると、こうなってしまうんかな。


俺はちょっとションボリしながら腰を下ろした。



「ねえ、河本くんはどこまで宿題すませた?」


華岡綾乃がそう言いながら、俺の問題集をのぞきこんで来た。



「俺は半分も終わってへんよ」


「私も。毎年この時期になると、あせるハメになるんよねー」


「へえ~、意外」


「何が?」


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