【短】Another Platonic
しつこく呼び続けること約3分。

やっと窓が開いた。


「おっ!」


思わず弾んだ声が出たのは、
美術室に人がいてラッキーと思ったからやけど

それが、ちょっと可愛い子だったから…ってのもあると思う。


ピョコンと窓から顔を出したのは、肩までの髪を茶色く染めた女子生徒。

遠目に見ても幼さの残る顔立ちだとわかった。


「あのさー! 悪いんやけど
そこにスケッチブック置き忘れてないか、ちょっと探してくれへんかな?」


「………」


ん?

なんか無愛想やな。

まさかあれが噂のオバケ!?

って、んなわけないか。


「えーっと、1-Bの河本卓巳って名前書いてると思うんやけど」


「………」


女の子は無言のまま、頭を引っこめた。


ありゃりゃ。

遠いから聞こえへんかったんかな。

それとも「知るか、ボケ!」って思われたんかな。


……しゃあない。
階段上るか。


そう思い、歩き始めたときやった。

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