【短】Another Platonic
ドクン、ドクンって響く心臓は、どっちの音かな。
葵の体重が、俺の胸にかかっている。
シャンプーの匂いが鼻をくすぐる。
肩を抱く手に力をこめると、葵は体をこわばらせて見上げきてた。
不安げな瞳。
いつもと違う俺の態度に、戸惑いすぎて声さえも出えへん感じ。
でも俺も、俺自身に戸惑ってた。
まるっきり自分じゃないみたいで、抑えられなくて。
唇を近づけると、葵はビクッと顔を背けた。
俺はその頬に手を当てて、もう一度上を向かせる。
……キス。
こんなに心が暴れるキスをしたのは初めて。
どうしよう……止まらへん。
空っぽになった頭ん中、今すぐ葵で埋めつくしたい。
さらに深くなるキスと共に、葵の体を押し倒した。
「ごめんな……」
ハァッと息を吐きながら俺は言う。
「葵のこと好きやからもっと大事にしたいのに、……好きやから、もう止められへん」