【短】Another Platonic
【8】ひび割れ
俺は有頂天の日々を過ごしてた。
大好きなカノジョがいて、しかもめでたく初エッチまですませて。
同じクラスにはサイコーに気の合う親友がいるし、そいつの恋も成就したばかり。
考えてみれば、この頃が一番幸せやったんかもな。
でも、幸せなんかそうそう続くもんじゃない。
気づかないうちにできたひび割れが、ある日ぱっくりと口を開けて……崩れ落ちる。
最初に崩れたのは――
「ウッチー……?」
9月が終りに近づいてきた頃。
いつものように登校すると、血相を変えて逆方向に歩いていくウッチーとすれ違った。
「おいっ、どこ行くねん」
俺の声を聞いてウッチーは立ち止まる。
だけど、ふり返ろうとはしない。
「どうした?」
俺はウッチーの前に回り、軽い気持ちで顔を覗きこんだ。
そう……
まさか、泣いてるなんて思わなくて。
「……何があったんや?」
思わず肩をつかんで問いかける。
ウッチーの唇が、震えながら開いた。