【短】Another Platonic
「綾乃ちゃんが――学校やめたって」
「……なんで」
「サラリーマンのおっさんとホテルから出てくるとこ見つかって、処分下される前に自主退学したんやってさ」
言い終わると同時にウッチーは俺の手を振り払い、走り去った。
――『ホテルから出てくるとこ……』
それって、……まさかウリ?
なんで?
なんで華岡が。
納得いかないまま、予鈴にせかされて教室に入る。
同級生たちはこの話題で持ちきりやった。
「……水野」
自分の席に座り、顔を隠すようにうつむいていた葵に声をかけた。
「お前、華岡と仲良かったから何か知ってるんちゃうん? あいつがそんなこと、するわけないやん。そうやろ? なあ」
俺がまくしたてると、葵は顔をあげ、ゆっくりと首を振った。
「私もそう信じたいけど……。
ここじゃ話しにくいから、ちょっと来て」
俺たちはこれから始まる授業をほったらかして、屋上に行った。
「綾乃ね、中学の頃から噂はあったんよ」
「噂?」
「……お金もらって、男の人と寝てるって」