【短】Another Platonic
「マジで?」
俺は笑った。
笑えばこれが冗談に変わる気がしたから。
でも、葵の表情は真剣なままやった。
「こんなタチの悪い冗談、言うわけないやん」
「……」
そうや。
考えてみれば、たしかに今まで俺が見てきた中でも、華岡綾乃はどこか影を隠し持ってる印象があったんだ。
――『私って、なぜか優等生タイプに見られるんよね。ホンマは全然違うのに』
でも、だからってなんで、こんなこと……。
「内田君と付き合えば、綾乃もマトモになってくれると思ったんやけど……無理やったんかな」
葵の言葉を聞いた俺は、無意識に声を荒げる。
「お前、なんでそんなに冷静やねん。親友が間違ったことしてたら、殴ってでも止めるんが友達やろ!?」
「止めたよ。止めたけど……無理やった」
何やそれ……。
わけがわからへん。
「俺には全っ然、理解できへんわ。
華岡がそんなヤツやったなんて、最低の女としか言いようがないな」
吐き捨てた俺の言葉に、葵は悲しそうな顔をして目をふせた。