【短】Another Platonic
つーか、こんな態度でこられたら、聞きたいことも聞かれへんやん。

冬休み中ずっと俺は心配してたのにさ。


それとも……心配は思い過ごしやったんかな。

あの電話の人が言ったように、葵は風邪をひいてて、それでずっと連絡がとられへんかっただけなんかな。




俺は葵を自転車に乗せ、駅までの道をこいだ。


「水野さあー、なんで今日は俺んちまで迎えにきてくれたん?」


「一緒に行きたいとこあるから」


「行きたいとこ? 今から?」


「うん。……あそこ」


俺は葵の人差し指が差した方向を見て、

「――えっ!?」

思わず急ブレーキをかけた。


そのせいで鼻をぶつけたらしく、葵が「痛ーい」と叫ぶ。


でもそんなの耳に入らないくらい、俺は仰天していた。


「行きたいとこって……まさか、あそこ?」


「うん」


おいおい……本気かよ。
だって、あれって……


「ラブホやん」


「そうやね」


鼻をさすりながらうなずく葵。

そうやね、じゃねーし。



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