【短】Another Platonic
最近よく、ひとりきりで来る場所がある。
旧校舎の非常階段。
葵との思い出の場所。
俺は授業をさぼってこの階段でボンヤリすることが増えた。
受験生のくせに何やってんだか。
でも、いまいち勉強とかする気になれへんねんな。
葵やウッチーとは、俺だけクラスが離れてもーたし。
他にも友達はいっぱいいるんやから楽しいはずやけど、俺はどうも気分が上がらない。
「あーあ」
踊り場に寝転んで、ため息をつく。
そのとき、下から上がってくる足音が聞こえた。
「よぉ、卓巳」
「ウッチー!
どないしたん? 授業中に」
「そのセリフをお前が言うな」
ウッチーは笑いながら俺の横に座った。
寝ころぶ俺から見上げたウッチーは、なんだかちょっと大人に見えた。
「卓巳さあ……水野と何かあったんか?」
「え?」
「最近元気ないやん。お前らしくないぞ」