【短】Another Platonic
「そう、かな」
ごまかすのが下手な俺は、たぶんバレバレやったんやろう。
情けねー。
「てかウッチー、俺がここにいることよく分かったな」
「水野に聞いた」
「……あいつに?」
「お前が階段のぼっていくの、見たんやってさ。“ひとりでサボるのなんかめずらしい”って、心配してたぞ」
「………」
「そのくせ“心配なら様子見てきたら?”って言ったら断るし。
お前も最近変やけど、水野も変やな」
ウッチーはハッキリとは聞かないけど、俺が悩みを打ち明けるのを待っている。
……相談してみたら、楽になるんかな。
でも葵の気持ち考えたら、やっぱ誰にも言われへんよ。
「別に、何もないし。ウッチーは心配症やなあ」
「そうか。……ならいいけど」
ウッチーは階段の手すりをつかみ、立ち上がった。
そして何段か降りたところで、
「あっ」
小さく叫んだ。
「どうした? ウッチー」
俺も体を起こし、下をのぞきこむ。