【短】Another Platonic
俺の大好きなコーヒー牛乳がふたつ、3階の踊り場に置かれていた。
「何これ。いつの間に……」
コーヒー牛乳を手に取り、あたりを見回すけれど人影はない。
たぶん――いや絶対、葵や。
俺を心配して、こっそり様子を見にきてくれたんや……。
「ええ彼女やんか」
ストローを差しながらウッチーが言った。
「お前らが何に悩んでるんか知らんけどさ、ふたりで悩めるうちは、いっぱい話し合っていっぱいぶつかれよ。
離れてもーたら、それすらできへんのやから」
「うん……」
もう、グダグダと落ち込むのはやめにしよう。
葵が辛い時に、俺がそばにいられること。
それだけで、充分やんか。
一緒に悩んであげられる。
一緒に涙だって流せる。
そしたらきっと、一緒に笑ったりできるはずやから。
俺はさ、今までアホみたいに平和に暮らしてきた人間やから、葵から見たら頼りないかもしれへんけど。
でも……絶対に支えてみせるよ、葵。
もうこれ以上、ひとりで泣かせたりはしたくないねん。