【短】Another Platonic
【10】君のために


その日の放課後、久しぶりに葵の部屋に行くことになった。


コーヒー牛乳のお礼を言いに教室まで行ったら、葵の方から「家に来ない?」と誘ってくれたんだ。



「何かビデオ借りてこっか。うちの近くのTSUTAYAで」


「うん、そうやな」


俺らは葵んちの近所のTSUTAYAに立ち寄った。


葵は新作コーナーに直行。
俺は海外ドラマの棚をチェックする。


海外ドラマのコーナーは入口から近く、ガラス張りの壁の向こうを、人が行き交っていた。


「あ――」


葵のお父さんや。


店の前の道を、葵のお父さんが通り過ぎていくのを、ガラス越しに見つけた。


この店から葵の家までは、300mくらい。

だからお父さんが歩いていたとしても、何も驚くことはない。


だけど……

その隣に、俺の知らない顔があったんだ。


そいつは笑ってた。

葵のお父さんに、どことなく似てた。



――直感でわかった。


あれが、

葵の叔父だ。




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