【短】Another Platonic
今まであの男のことは、葵の口から聞かされるだけの人物で、どこか現実味がなくて。
でもこの目で本人を見てしまった瞬間、
ずっと抑えてきた怒りはコントロールをほとんど失ってしまった。
俺は……どうやら勘違いしてたみたいや。
葵のそばにいて、時には一緒に泣いたりもして、そんな時間が少しは葵の救いになるんやと思ってた。
でも違う。
そんなのは、おめでたい勘違い。
だって俺らが涙を流してる間、あの男は、笑ってるやんか。
……救いなんか、どこにもないよ。
この世界は、傷ついた人間に優しくない。
傷つけた側の人間が笑って暮らす、ふざけた世の中。
許せない。
許せない。
許せない。
あんなやつ、
消えてしまえばいいのに。