【短】Another Platonic
【2】マドンナの親友
「うっしゃあ~! クラス替えの神は俺に微笑んだ!」
掲示板に貼りだされた新しいクラスメイトの名前を見て、ウッチーが叫ぶ。
たぶん他の男どもも、内心ガッツポーズだったはず。
「綾乃ちゃんと一緒のクラスになれるとか、俺らってマジでツイてるよな。
なあ、卓巳!」
ウッチーが騒ぐのもしかたない。
学園一かわいいと評判の女子が、俺らと同じ2年D組に決まったんやから。
ベタな言い方すれば
“我が校のマドンナ”ってやつやな。
華岡綾乃ちゃん。
名前からして、それっぽい。
「あっ。来た!」
登校してきた華岡綾乃を見つけ、ウッチーのテンションはさらに上がる。
俺はあんまりマドンナとか興味がないから、ちゃんと見たのはこのときが初めてやった。
「や~っぱり可愛いわぁ、綾乃ちゃん!」
「……おい。ウッチー」
「ん?」
「あの子は?」
丸く開いた俺の瞳は、華岡綾乃をすり抜けてその隣の女子を映す。
ウッチーは俺の視線を追って、言った。
「あぁ、たしか綾乃ちゃんの中学からの友達やわ。
水野……葵とかいう名前やったな」