【短】Another Platonic
葵は消毒液を棚に戻すために立ち上がる。
俺はその手を、下からつかんだ。
「……どうしたん?」
不思議そうな顔で見下ろしてくる葵。
「水野、お前さ」
唇が勝手に動く。
「俺以外の男と、ホテル行った?」
「………」
何やねん。
その顔。
青ざめるなよ。
せめて怒れよ。
何アホなこと言ってるの?って
怒って否定してくれよ――
「ホンマ……やったんやな」
つぶやいた瞬間、荒々しい衝動が俺の体を駆けぬけた。
俺は立ち上がり、葵の腕を引っ張ってベッドに倒した。
「卓巳……っ」
違う。
こんなおびえた顔、させたいわけちゃうのに。
止まらない。