【短】Another Platonic
……おかしいよ。
俺らのセックスと、あんな男のした行為が、同じなわけないやろ?
唇を離し、葵のブレザーのボタンに手をかける。
もう一度、抱きたい。
葵を抱きたい。
葵を縛り付ける記憶を、
俺が消してやりたい。
……できるよな?
こんなに好きなんやから。
「水野……」
俺は葵の顔を見上げ、
愕然とした。
葵は、抵抗しなかった。
俺の下でひたすら体をこわばらせ、震えて――耐えていた。
そう。
“耐えて”いたんだ……。
「――…なんでっ」
脱がす手を止め、俺は叫んだ。
「なんで……なんで……っ!!」
行き場のない激情を拳にこめて、何度もベッドをなぐりつけた。
そんな俺のそばで葵はずっと、
声を押し殺して泣いていた。
「なあ……答えろよ、水野っ!!
なんで――っ」
――…なんで
こんなことになってしまったんやろう。
なんで俺は葵を傷つける存在にしかなれなかったんやろう。