【短】Another Platonic
【13】最後に
俺宛てに小包が送られてきたのは、それから数ヵ月後の秋のこと。
差出人の名前がない包みを開けると、中には一本のビデオテープが入っていた。
“シザーハンズ”
彼女の部屋に置きっぱなしにしていたビデオだ。
同封の便せんには一言、
「ありがとう」
とだけ書かれていた。
……葵。
今ではもう、俺んちにはビデオデッキなんかないけれど、
あのシザーハンズだけは、
今も大切に持ってるで。
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俺はその後、高校教師になる道を選んだ。
教育者なんか俺のガラじゃないけれど、目標ができたから。
“傷ついてひとりぼっちで迷う子供たちを、少しでも減らしたい”
自分にできることなんか、たかが知れてるけど。
ひとりよがりの偽善かもしれんけど。
俺のこの手で守れるものを
この足で、見つけに行くんだ。