睡恋─彩國演武─

呉羽が説明すると、アイは寂しげに眉を下げた。

「そっか……。じゃあ、おじいちゃんは、もう──」

「……ええ」

「仕方ないと思っても、やっぱり哀しいものね。でも落ち込むのは後よ!星麟まで飛ばして。この子を助けたいんでしょ?」


呉羽は何も言わずに頷くと、人型から白虎の姿へと戻った。


「わ……呉羽様……?」

「由良。早く千霧様と一緒に乗って下さい」

「は、はい!」


由良は目前で繰り広げられる光景がまだ信じられないらしく、動転していた。

反対に、アイは冷静で、自らも朱雀本来の姿となった。

燃えるような、緋色の翼。
美しい、五色の尾。


「白虎、ついてきて!」


翼を広げ、空高く舞い上がるアイに、呉羽も続いた。

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