睡恋─彩國演武─
*
千霧は膝を抱えると、ちいさくため息をついた。
「……皆の考えていることが、急にわからなくなった」
「藍王子は、本当はあんなこと言う人じゃないと思います。確かに口は悪いけど……でも……」
でも、優しい人だから。
「──わかってるよ、由良。でも……だから、だから余計に辛いんだ」
余計に辛くて、哀しい。
間違いだと言って欲しい。
それが甘えだというなら、そうかもしれない。
「心配してくれたんだ。──でも、やっぱり」
膝に顔を深く埋めると、不思議と冷静になれた。
確かに、いくら心配をかけまいと頑張っても、皆の力には到底追いつかない。
さきの戦いで力の差を思い知った。
千霧には、龍の力があっても使いこなせない。
あるだけで使えない力なら、そんなものは無意味だ。