深紅の花に姫君《改装版》
ー⭐rain side⭐
「スイラン、何一人で出歩いてんだよ!!」
俺はイライラしながら、教会の前で馬から降りる。
「狙われてるって自覚がねぇ!会ったら絶対に説教してやる!」
俺がいない時に、アイツが傷つけられるのは嫌だ。
悔しくて、自分を許せなくなる。
ズカズカと大股で教会へと向かうと、そんな怒りさえ鎮めるような、美しい花々が目に入った。
すごいな…………
色とりどりで、心も落ち着く………
「こんにちは」
「!!」
突然声をかけられ、振り向くとそこには紫の髪と瞳の少女が立っていた。
気配、全く感じなかったぞ………
でも、悪い感じはどこにも無い。
「すまない、スイラン王子はここにいるだろうか」
「王子……ふふっ、姫ならこの教会の中にいますよ」
姫??
おかしそうに笑う少女に、俺は首を傾げる。