深紅の花に姫君《改装版》

ー⭐rain side⭐


「スイラン、何一人で出歩いてんだよ!!」


俺はイライラしながら、教会の前で馬から降りる。



「狙われてるって自覚がねぇ!会ったら絶対に説教してやる!」


俺がいない時に、アイツが傷つけられるのは嫌だ。
悔しくて、自分を許せなくなる。



ズカズカと大股で教会へと向かうと、そんな怒りさえ鎮めるような、美しい花々が目に入った。



すごいな…………
色とりどりで、心も落ち着く………



「こんにちは」

「!!」


突然声をかけられ、振り向くとそこには紫の髪と瞳の少女が立っていた。


気配、全く感じなかったぞ………
でも、悪い感じはどこにも無い。


「すまない、スイラン王子はここにいるだろうか」

「王子……ふふっ、姫ならこの教会の中にいますよ」



姫??
おかしそうに笑う少女に、俺は首を傾げる。

















< 100 / 219 >

この作品をシェア

pagetop