深紅の花に姫君《改装版》

ー⭐suiran side⭐


「スイラン!!」


教会の外へ出ると、そこにはレインがいた。


「お前、ちゃんと俺を連れて行けよ!!心配するだろーが!」

「……レイン……」


先程の事を引きずっているせいか、思ったより暗い声が出てしまった。


「…な……スイラン?」


暗い私に気づいてか、レインは戸惑うように私の顔をのぞき込む。



その視線から逃れるように私は前を歩き出す。



「おい、何かあったのか?」

「ううん、平気」


それが精一杯だった。
苦しくて、今口を開けば、泣き出してしまいそうだから…


「全然平気そうじゃねぇだろ!」

「!!」


グイッと肩を掴まれ、レインの方を向かされる。
私の顔を見たレインは、息を呑み込んだ。


「泣いてんのか………?」


泣いてる………
私は泣いてるの………?



レインに言われてはじめて、自分が泣いていた事に気付いた。頬が、風に吹かれる度にスースーと冷めたい。




















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