深紅の花に姫君《改装版》
「本当に、どうしたんだよ…スイラン」
レインは私の涙を拭う。
その優しさにまた、涙が流れた。
「レイン………。僕は分からないんだ」
「分からない?」
レインの温もりに促されるように、ポツリポツリと話し出す。
「手放せば全てがうまくいくのに、手放すのが怖くて寂しい……」
「??」
詳しくは言えなかった。
言葉にすれば、私はきっとそれを選べなくなる。
「自分の事が可愛くて、僕はそれを手放せないでいる…」
「抽象的で、スイランが何に苦しんでるのか、詳しくは分からねぇけど、手放したくねぇなら、手放さなきゃいい」
「でも、それじゃあ皆幸せにできない」
私が命をかけなければ、幸せな未来は無い。
ずっと、争いが続くんだ。
「人任せの幸せに俺は興味ねぇよ。スイランはスイランの幸せを考えてればいいんだ」
「どうして………」
どうして、レインは私に自由な心を持てというんだろう。
どうして、私が欲しい言葉をくれるんだろう……