深紅の花に姫君《改装版》
「スイランを大切に思う奴等は、スイランが犠牲になる事を悲しむだろ、普通」
「レイン………」
涙で滲む視界に、レインの優しい微笑みが見えた。
「前にも言ったろ。それを駄目だという奴がいたら、お前を連れて逃げてやるって」
「!!」
「約束する。お前をどんなモノからも守る」
レインは、姫という私の運命からさえも守ろうとしてくれている。
「レイン、僕………」
話してしまいたい。
そうしたら、楽になれる気がした。
「ヴァンパイアと人が共に生きる未来、戦争を終わらせる力があるとしたら、レインならどうする?」
「そんな力があるわけ………」
「あるんだよ、薔薇の刻印を持つ人間には…」
「!!嘘だろ、そんな夢みたいな話……」
ついに話してしまった。
1つ喋ってしまえば、溢れるように次々に私はレインに打ち明けていた。
「薔薇の刻印は、女神アリアの運命さえも変える力を与えられた人間の証。その命と引き替えに、どんな運命も変えられるんだよ……」
「刻印は、傷を癒すだけじゃないのか……?」
「うん………」
むしろ、こっちが本来の力なのかもしれない。
「僕さえ消えれば、この世界は救われるんだよ…」
だから、私は生きたいなんて傲慢な願いを口にしちゃいけないんだ。
「………だからって、お前が消えていいはずがねぇよ。俺がさせねぇ!!」
「レインっ……でも、僕が死ななきゃっ……」
「させねぇって言ってんだろ!!」
ーガバッ!!!
強く引き寄せられ、息が出来ないほど強く抱き込まれる。