深紅の花に姫君《改装版》
「なぁ……スイラン。このまま逃げちまおうか…」
「え………?」
突然の事に、私は頭が真っ白になる。
聞き間違えかと思った。
「このまま、遠くに行けば、自由になれる。その為なら、俺は仲間だって斬る」
その強い覚悟に、私は揺らいだ。
このまま、レインと逃げられたら………
ずっとレインの傍で笑っていられるのかな……
だとしたら、すごく幸せ。
でも………
「私のせいで、レインが傷つく……」
仲間も斬ると言ったレイン。
シェイドやスヴェン、騎士団の仲間達を敵にするなんて、優しいレインには出来ない。
でも、その覚悟が嬉しかった。
「どうして、レインはそこまでして僕を守ろうとしてくれるの?僕は、レインに命がけで守ってもらえるほど、立派な主でもないでしょ?」
私は、いつも迷っていて、感情に流されて、自分の事ばっかりで………
誰かに尊敬されるような人間じゃない。
なのに、レインはそんな私を守る為に傷ついても構わないと言う。
その理由を知りたかった。