深紅の花に姫君《改装版》
好きになれば、傷付けるって分かってるのに…それでも、好きでいる事をやめられない。
「こんなに誰かを好きになったのは、初めてだよ…」
レイン、あなただけだよ………
「俺も……全て捨てても守りたいって思ったのは、お前が初めてだ」
私とレインはお互いに両手を絡めた。
色とりどりの花びらが、私達の間をすり抜ける。
その隙間さえもどかしい。
「好きだ、スイラン……」
「好きだよ……レイン……」
最後の隙間を埋めるように、お互いの顔が近づき、ついに唇を重ねた。
「んぅっ……ふっ」
「っ……ふ」
私とレインの息づかいだけが聞こえる。
この時間が永遠に続けばいいのに………そう、心の底から願った。
「スイラン………」
愛しげに囁かれる私の名前。
もう、今世界が終わってもいい………
終わりに、レインと共にいられるなら、それでいい。
「俺と逃げるぞ、スイラン」
唇が離れ、差し出された手に私は迷わず手をとった。
この人と、生きていこう………。
たとえ、何を犠牲にしたとしても。
国や民、父様………
全ての繋がり、絆を手放しても。
レイン、私は傲慢にも、あなたと生きる道を選びたい。