深紅の花に姫君《改装版》
真実の心、振り切る迷い
月が夜の闇を照らす頃。
私達は、アルバンテール国最果ての山、レグルス山の寂れた山小屋で身を休めた。
「スイラン、触れて……いいか?」
上半身裸のレインは、私の服に手をかける。
「あっ………うん…」
恥ずかしさと嬉しさが入り交じった、不思議な感覚。
私は、やっとレインに全てをあげられるんだ……
そう、女であるという秘密も。
「肌、白くて綺麗だな。ずっと、触りたいって思ってた…」
「レインっ……」
首筋を撫でられ、背筋がしびれる。
ずいぶんと遠くまで来てしまった。
私は城を離れ、レインと体を重ねる。
物凄く幸せなはずなのに、物凄い罪悪感に襲われた。
「………何も考えるな。絶対に守りきる」
「ごめん、レイン……」
あなたにまで、全てを捨てさせてしまった。
とんでもない事をしてしまった。
この痛みを、私は一生抱えていくんだろう……
ーポタッ
涙が流れた。
何が悪かったんだろう。
とうすれば良かったんだろう………