深紅の花に姫君《改装版》


「馬を借りるか……もっと遠くまでいかねぇと」

「うん………」



でも、遠くってどこまで?
どこまで行けば、私達は幸せになれるの?



世界の果て、たとえそんな所があったとしても、世界はひとつしかない。



私達がたどり着けるのなら、きっと誰にでもたどり着けてしまう。



そうしたら…………
私とレインは引き離されて、命を落とすんだ。




「スイラン、ほら……」


いつのまにか、馬を借りてきたレインが、馬上から私に手を差し出す。



ーこの手の温もりを、ただ頼るだけでいいの?




「大丈夫だ、行くぞ」




戸惑って手を取れない私の手を、レインが掴んでくれた。




「ありがとう、ごめんね、レイン…」



そう言って手をとる私を、レインが悲しげに見つめていた事に、私は気づかなかった。











< 112 / 219 >

この作品をシェア

pagetop