深紅の花に姫君《改装版》
「姫様………」
私の血は、命あるモノに力を与える。
もし私に、女神の力があるのなら………
私は懐から、短剣を出し、腕に走らせた。
ーツゥ……
血が手首を伝い、地面にポタリと落ち、地面に赤い染みを作る。
「どうか……この地にもう一度恵みを」
この宿命と共に生きていくから……
「懸命に生きる命に癒しを……」
ーパァァァァァッ!!
私の手から流れる血が、黄金の光を放つ。
『深紅の想い………それは愛を届ける深紅の花弁とならん』
ーパァァァァァッ!!
光が瞬き、大地を照らす。
照らされた大地は、芽吹き、緑を生んでいく………
「な、なんじゃ………傷が癒えていく……」
老人は両手を見つめ驚いていた。
「あぁ…焼け倒れた木々が生えてるぞ!!」
「花なんて、いつぶりかしら……」
人々がどこからか姿を表す。
「お母さん!!見て、あそこに鳥がいるよ!!」
「まぁ、本当ね………夢のよう…」
人々が涙を浮かべ笑顔になる。
良かった………これで、良かったんだ。
私は、この笑顔が見たかった。