深紅の花に姫君《改装版》
「っ………まだ、もう少し……」
体から力が抜けていくのを感じた。
それでも踏ん張って、力を注ぐ。
「姫様は本当に女神だったんじゃな………」
「伝説の中だけかと思ってたぜ…」
皆は私を見て頭を下げた。
「ありがとうございます、姫様……」
「あなた様は、希望を与えてくださった」
「ありがとう、姫様!!」
他国の地で生きる他国の民。
でも、彼らも私達と同じ人なんだ………
大切な命の一つ。
理不尽に奪われていいものなんてない。
人と人、人とヴァンパイア……
争う事はあるけれど、解り合う事はきっと出来る。
そうですよね、母様……
もしかしたら、母様もこの可能性をどこかで見つけたのかもしれない。
だから、誰も傷つく事の無い未来を望んだ。