深紅の花に姫君《改装版》
「っ………」
「スイラン!!」
レインがふらつく私を抱き止めてくれた。
私はとてつもない疲労に襲われながらもレインに笑みを向けた。
「私の中に、ずっとあったんだ………」
「??」
不思議そうな顔をするレインに私は笑う。
ずっと分からなかった。
母様を殺したヴァンパイアとどうして共に生きようなんて思ったのか……
「ずっと探してた答えが見つかったの…」
それは、どんな生き物にも平等に与えられた命を全うする権利、個々の幸せを守る権利は誰にも奪えないという事。
そして、私達が幸せでいる為には憎しみの連鎖をどこかで絶ちきる事だったんだ。
「憎しみ合うだけの世界じゃ、誰も幸せになんかなれないんだよ………」
「スイラン………だが、俺は仲間を殺したヴァンパイアを許すなんて……」
俯くレインの頬に、私は手を伸ばす。