深紅の花に姫君《改装版》
「おやすみ、スイラン…」
おやすみ、レイン………
前髪をそっと払われ、額に口づけられる感覚。
私は今きっと、幸せそうに笑っているんだろうな。
あなたと過ごしたこの日々を、私はきっと忘れない。
世界を捨てても、誰かを不幸にしてもいい、全てを失ってもあなたさえいればいい。
そこまで思わせる深くて熱い愛を教えてくれた。
私は、長い時を生きる事は出来なくても、きっと一生分の恋をしたんだ。
この想いさえあれば、どんなに別れの時が辛くても、笑って消える事が出来るだろうか。
その答えは、まだ見つからなかった。