深紅の花に姫君《改装版》
「ただな、人であればの話だ」
ケナン王の言葉の真意がすぐに分かった。
そうだ、この世界には人間や動物意外にも存在する種族がいる。人の血肉を喰らい生きるヴァンパイアの事だ。
それに、ヴァンパイアの純血種には子孫を血を介して増殖させる力があり、純血種に血を吸われれば、混血ではあるが同じくヴァンパイアとなる。
そして、それは人を喰らうほど人間と、同じような知能を発達させていくという。
「ヴァンパイアとの戦闘は、騎士のように、戦いに長けた者すら厳しい戦闘となる。アルバンテールの王族の血にはヴァンパイアの好む甘美な血が流れるという。王子が狙われる事もあろうな」
「ですが、それは王証である薔薇の刻印を持つ姫だけではないのですか?」
薔薇の刻印はこのアルバンテールの女王の証。
そして、女神の再来を意味する、奇跡の存在。
先代のアスラーナ女王がそうだった。
それゆえに、ヴァンパイアに殺されてしまったが……