深紅の花に姫君《改装版》
「それにしても、本当に良いのか、スイラン」
「え……?」
レインが、私を心配そうに見つめてくる。
「ヴァンパイアは、お前の………」
レインの、濁した言葉の先を私は察してしまった。
たぶん、レインは私の母様を殺したヴァンパイアと、本当に共に生きる道を選ぶのか?と言いたいんだ。
「この間ね、あのヴァンパイアに会ったの」
私は、ジルドの事を思い出す。
あの冷酷な紅の瞳は、確かに揺れて、泣いていた。
「なっ、場内に進入したのか!?何ですぐに知らせねぇんだ!」
「わっ、怒らなくても!!」
「だから!!お前は、いつもいつも危険に首を、突っ込むなってあれほど!!」
「ぶー、それは、否定できない」
言い返せません、はい。父様に続き、レインにまで小言を言われてたら、身が持たないよ。
………ううん、身も心も、ね。
「ホッホッ、仲が良いのぉ。若者は賑やかでないとのう!」
「ヘルダルフおじちゃん………」
なんかもう、こうしてみると、本当にどこにでもいるおじいさんなような………
なんて、絶対に言えない。