深紅の花に姫君《改装版》
「姫……であるなら、か。そうだな、たとえ話だ、忘れてくれ」
「は、はぁ……」
たとえ話だ?
ならなんで、そんな深刻そうな顔をしてるんだよ。
「さて、王子は視察で外に出ている。夕刻には城に戻ろう。挨拶をしてくるとよい」
「ハッ!それでは、失礼いたします」
夕刻か、それまでシェイドさんと鍛錬でもするか。
最近はヴァンパイアの動きも落ち着いているからな、腕が鈍っていけない。
そんな事を呑気に考えながら扉へと向う。
ーバタンッ
扉が閉まると、ケナン王とスヴェンは顔を見合わせる。
「どうだ、ケナン。レインをどう見る?うちの期待の星なんだがな」
「そうだな、スヴェン。アレは真の騎士となる強き瞳をもっているな。さすが、お前の部下だ」
二人は、先ほどまでの堅苦しい話し方ではなく、昔の戦友としての話し方に戻っていた。