深紅の花に姫君《改装版》
城へ入ると、城は静まり返っていた。何故か、ヴァンパイアも城に入った私たちを追いかけてこない。
「罠か?」
「女子供の姿はないみたいだなー」
レインとジェイドさんが周りを警戒しながら言葉を交わす。
「気を抜くなよ、ここは、奴さんの腹ん中なんだからよぉー?」
スヴェンの言葉に、私も身を引き締めた、その時。
「あぁ、来たんだ??」
「「「「!!!」」」」
全員がこの場に似つかわしくない陽気な声に視線を向けた。
そこには………
「ジルド………」
私は彼の名前を呼んだ。彼は、私を見て嬉しそうに笑う。
「やぁ、スイラン。とうとう、君は止められなかったみたいだね」
それは、絶望と失望。ジルドの目には、もう希望はなく、冷酷な冷たさしかなかった。