深紅の花に姫君《改装版》
「違う!!私はまだ諦めてない!!」
「お前だけが足掻いた所で何も変わらない」
スッとジルドの隣に深緑の髪の少年が現れる。
「センリ」
ジルドの呼んだセンリという名前に聞き覚えがあった。確か、ジルドと一緒にヴァンパイアになった………
「ジルド、ヴラド様の命を忘れるなよ?」
「僕が忘れると思うー??」
おちゃらけるジルドに、センリは無表情に見つめる。
「入れ込んでるみたいだからな」
「あららー、センリお前、あの時いたんだ?」
二人の会話の糸は読めない。だけど、まだ二人は私たちに牙を向いてない!!
説得じゃなくて、理解をしてなんて言わない。ただ、解り合う為に歩みはとめたくない。
「ジルド久しぶり。そして初めましてセンリさん」
私は深々に頭を下げた。それを見ていた他の騎士達が慌て出す。
「王子!?相手はヴァンパイアですよー??」
ジェイドの言葉に、私は頷く。
「知ってる、それでも彼は、私たちと変わらない人だから」
私は強くヴァンパイア達を見つめた。
「ヴラド様はもう止められないよ。君たちひ弱な人間が対等にやりあえる存在じゃない」
ジルドは笑みを消して、私を見つめ返した。それはまるで、だから戦うなと言ってくれてるように見えるのは、彼を信じたいと思うからだろうか……
「結局、僕たちは強い存在に強いたげられ生きてくしかないからね」
「ジルド………。だが、あの頃に比べたら今のほうがいい」
センリさんも、そう言いながら矛盾する心に戸惑っているように見えた。