深紅の花に姫君《改装版》
「人とは愚かです。無駄に争い、死に急ぐ」
ヴラドの言葉に、私は怒りよりも、不思議な既視感に捕らわれる。
私、この言葉どこかで……………
『人は争いばかりだな』
『死に急ぎ、愚かな生き物へと成り果てた』
『最期の審判の時だ』
ーズキッ!!
「…っ!!!」
私は頭を抱え、しゃがみこむ。
何これ!!どうしてこんなに頭が痛いの!?今の声は………!?
「スイラン!!スイラン!!」
私の名前を呼び、顔をのぞき込むレインを見つめた瞬間ー…
『セシル、私は地上が好きよ』
「!!」
突然、誰かの声が聞こえた。
私は驚きに立ち止まる。
『セリ………』
頭の中の声と同時に、銀髪の長い髪を結った、レインとそっくりの男の子がレインと重なって見えた。
「セ………リ……」
「スイラン………?」
不思議そうに私を見るレインに、私も戸惑った。
何だろう、この違和感。私が、私であって私じゃないような………