深紅の花に姫君《改装版》


「突然何を…」

「母様が好きだったノリアの花が好き、その花を育てる人達が好き………」


ヴラドの声を遮り、私は語り続ける。



あぁ、この世界はこんなにも私の好きなモノに溢れている。こんな状況だっていうのに、自然と笑顔になれた。



「そして…………」



私は瞳を開き、レインを見つめた。


「レイン、あなたを愛してる」

「っ!!………俺も、スイランを愛してる」


ほら、こんなにも温かい気持ちになれる。こんなにも、私は誰かを愛してる。



「だから、私は誰かを愛せた私自身が好き」


私は立ち上がり、強くヴラドを見つめた。



「ヴラド、私は、人の愚かさも含めて、人が好きなんだよ」


間違ってはいけないなんて誰が決めたの?
欲をもたず、人は何を目標に生きていくの?



「そんな綺麗事、あなたは自分を偽っているにすぎないのですよ!!」


ヴラドは突然、余裕の笑みを崩した。肩をふるわせ、激しい怒りを抱いてるようだった。































< 181 / 219 >

この作品をシェア

pagetop