深紅の花に姫君《改装版》
「突然何を…」
「母様が好きだったノリアの花が好き、その花を育てる人達が好き………」
ヴラドの声を遮り、私は語り続ける。
あぁ、この世界はこんなにも私の好きなモノに溢れている。こんな状況だっていうのに、自然と笑顔になれた。
「そして…………」
私は瞳を開き、レインを見つめた。
「レイン、あなたを愛してる」
「っ!!………俺も、スイランを愛してる」
ほら、こんなにも温かい気持ちになれる。こんなにも、私は誰かを愛してる。
「だから、私は誰かを愛せた私自身が好き」
私は立ち上がり、強くヴラドを見つめた。
「ヴラド、私は、人の愚かさも含めて、人が好きなんだよ」
間違ってはいけないなんて誰が決めたの?
欲をもたず、人は何を目標に生きていくの?
「そんな綺麗事、あなたは自分を偽っているにすぎないのですよ!!」
ヴラドは突然、余裕の笑みを崩した。肩をふるわせ、激しい怒りを抱いてるようだった。