深紅の花に姫君《改装版》
「嫌っ!!レインっ!!!」
ジルドは、駆け寄ろうとする私の肩を掴み、後ろへと引っ張る。
「きゃあっ!!」
その勢いで後ろへと吹き飛んだ。
「がはぁっ!!突っ込むとか……馬鹿なの……?」
「邪魔ですよ、ジルド」
振り返り、息も絶え絶えに私を振り返るジルドは、ヴラドの手によって貫かれていた。
「ジルド………?」
貫かれた背中から血が流れていく。それを、私は呆然と見つめるしかなかった。
ーブンッ!!!
「がはっ!!」
ヴラドはジルドを投げ飛ばし、その血に濡れた手から紅い滴を滴らせながら、私の所まで歩いてくる。
「あなたの死こそ救いです。さぁ、ようやく、この時がきた……」
ヴラドは訳の分からないことを言いながら、私に手を伸ばす。
「薔薇の姫の最終血統、この世界の唯一の希望が、失われる時が来ました……」
ヴラドは心底嬉しそうに笑った。
「あ…………」
あぁ、私はここで死ぬの………?
何も出来ないまま、何も変えられないまま……
迫る赤い手を、ただ目で追う。
レイン………ジルド、皆………
私の、私の愛するモノ達を残して………?
「駄目………」
私は、まだここで消えてはいけない。まだ、何もやり遂げてないじゃない。
私は強くヴラドを見返した。