深紅の花に姫君《改装版》
ーシュンッ!!
また、場面が変わり、そこには、光輝く、球体のようなものが、あった。
ーアリアよ、これいじょうアルバンテールには関わるな
球体から発せられた声は、男性のような、かといって女性ともとれる不思議な声音で、アリア様に声をかける。
「私は、あの世界を愛するゼネフ様の愛から生まれたのです。その私に、どうして、あの世界を見捨てられましょうか?」
ー審判は下されてしまった。お前と、英雄神以外はアルバンテールの初期化に賛成しておる。
「ゼネフ様、この世界は、生きるモノ達がいてこそ、アルバンテールという世界が成り立っているのです。何度初期化し、やり直しても、人は争いの先に進めず、過ちを繰り返すだけです」
ー何度も争ってきたが、その先に成長は見えぬ。
『ゼネフ様、もっとアルバンテールに生きる一人一人を見てください。少しずつではありますが、変化は生まれています』
アリア様は光に向かい、必死に唱えた。
ーもう、遅いのだ。審判は、主神でも覆せぬ決まり。アルバンテールには、これから災厄が落とされる。……何も、できぬのだ。
そういうゼネフ様も、心を痛めているように思えた。