深紅の花に姫君《改装版》
「今日、王子に会ってきたんすけど……」
「おお!噂の美形王子か!深窓の王子!」
俺もジェイドさんの隣に腰を下ろす。夜空を見上げたまんま、一人で喋った。
「美形どころじゃないっすよ、女かと思いました」
「ほう、それで?」
「その…………男なのに、動悸が………」
あぁ、こんな事なんで話してんだ。
でも、誰かに聞いてほしかった。これが、どういう感情なのか、教えてほしかったのかもしれない。
「ハッ!お前、そらぁ綺麗なモン見たら男女問わずドキドキもするだろ!」
「そういうもんすかね………?」
でも、ただ綺麗だったから、とは違うような。
なんつうか………触れたい、と思った。
「それか、一目惚れだな!」
「一目惚れ!?男が男に!?」
いやいやいや!!!
それは駄目だろ!!いくらなんでも!!
俺、男に趣味は無いんだが!!
女としか、その……シたいと思わないし。