深紅の花に姫君《改装版》
視察が終わると、私はベルに頼んでノリアの咲く丘を見せてもらう事になった。
花畑から少し歩いた所にあるノリアの花が咲く丘は、ノリアの花畑を作るきっかけとなった場所らしい。
ベルの先代のお祖父様がこの丘でノリアの花を見つけたのがきっかけだとか。
「お前、そんなにその花が好きなのか?」
ノリアの花を見つめる私に、レインは苦笑いを浮かべる。
「うん、母様が好きな花だったから……」
母様はよくこの丘に連れてきてくれた。
『スイラン、すごいモノを見せてあげるわ』
まるで自慢するようにここへ私をつれてきた母様を思い出す。私は、明るくて優しいお母様の喜ぶ姿が好きだった。
「アスラーナ女王か…………」
「うん。破天荒で、明るい人だったから、ここに来ると母様を思い出すんだ」
太陽を見上げる花、それがまるでいつでも明るくて前向きな母様のように思えた。
「僕、たまに思うんだ。母様は、ノリアの花になったんじゃないかって」
それで、いつだって太陽を見上げては、誰かに幸せを運んでいるんじゃないかって。
母様の笑顔が、沢山の人を癒したように………